Kengo Nagashima



pimeta Package

pimeta Package (CRAN)
メタアナリシスの予測区間 (Higgins et al., 2009; Partlett & Riley, 2017; Nagashima et al., 2018) を実装した R パッケージです。

CRAN Task View の MetaAnalysis に登録されています (2018/04/20現在)


変量効果メタアナリシスの予測区間の問題

Higgins et al. (2009) は、変量効果モデルを用いたメタアナリシス (以下、変量効果メタアナリシス) において、新たな試験を行ったときに期待される治療効果がどの程度になりうるかを統合結果をもとに推測するために、予測区間を用いることを提案した。 また、Riley et al. (2011) では、変量効果メタアナリシスの結果の要約として、平均治療効果の信頼区間や異質性の評価指標 ($I^2$など) とともに予測区間を示すことを強く推奨している。 これは、Riley et al. (2010) において、変量効果メタアナリシスを実施した44のコクランレビューを調査した結果、平均治療効果の信頼区間を正しく解釈していたものは一つもなく、固定効果モデルを用いた際の共通治療効果と同様の解釈が行われていたことが理由である。 平均治療効果と異質性の評価指標を別々に提示すると、正しい解釈がなされない現状を是正するために、予測区間を示すべきであるという主張は合理的であると考えられる。 また、予測区間を用いることで、変量効果メタアナリシスの結果を別の集団に適用した際に期待される治療効果の範囲などを見積もることができるため、臨床上有用な要約指標であると考えられる。

しかしながら、既存の予測区間 (Higgins et al., 2009; Partlett & Riley, 2017) は特に統合する試験数や異質性パラメータの値 ($\tau^2$) が小さい場合に、予測区間の被覆確率が過小となることが知られている (Partlett & Riley, 2017)。 これは、予測区間を構成するために二つの大標本近似が用いられているためである。 Kontopantelis et al. (2013) の調査によると、今までに公開された変量効果メタアナリシスの9割程度は統合する試験数が20未満であり、既存の予測区間を適用するとうまくゆかないケースが多く存在すると考えられる。

Nagashima et al. (2018) では、二つの大標本近似のうち一つをより精度の良いものに置き換え、もう一つを正確な分布からのパラメトリックブートストラップ標本に置き換えることで、予測区間の被覆確率が名義の値に非常に近くなる方法を提案した。 シミュレーションでは、特に既存法の性能が悪くなるような条件下 (現実的にも充分起こりうると考えられる) で提案法がほぼ名義の値を達成することを示している。

最後に、これは個人的な意見になるが、異質性の検定結果が統計的に有意でないケースや異質性パラメータが $0$ として推定される場合であっても、固定効果モデルの結果だけではなく、変量効果モデルの結果も示すべきだと考えている。 この理由は、統合する試験数が小さくかつ異質性パラメータの真値 ($\tau^2$) が小さいか中程度の場合、多くのケースで推定値 ($\hat{\tau}^2$) が truncate されて $0$ となる現象が観察されるためである。 異質性のパラメータ推定値は推定誤差があり、これを無視して truncate した点推定値をそのまま真値として代入する (固定効果モデルを用いることに相当する) ことによる影響は非常に大きいことがわかっている。 特に統合する試験数が小さい場合は推定誤差が非常に大きいため、異質性パラメータを $0$ としてしまっているケースは無視できない割合で存在するのではないかと考えている。

アップデート情報

引用文献

  1. Higgins JPT, Thompson SG, Spiegelhalter DJ. A re-evaluation of random-effects meta-analysis. Journal of the Royal Statistical Society: Series A (Statistics in Society) 2009; 172(1): 137–159. doi:10.1111/j.1467-985X.2008.00552.x.
  2. Partlett C, Riley RD. Random effects meta-analysis: Coverage performance of 95% confidence and prediction intervals following REML estimation. Statistics in Medicine 2017; 36(2): 301–317. doi:10.1002/sim.7140.
  3. Nagashima K, Noma H, Furukawa TA. Prediction interval for random-effects meta-analysis: a confidence distribution approach. Statistical Methods in Medical Research 2018. In press. arXiv:1804.01054.
  4. Riley RD, Gates SG, Neilson J, Alfirevic Z. Statistical methods can be improved within Cochrane pregnancy and childbirth reviews. Journal of Clinical Epidemiology 2010; 64(6): 608–618. doi:10.1016/j.jclinepi.2010.08.002
  5. Riley RD, Higgins JPT, Deeks JJ. Interpretation of random effects meta-analyses. BMJ 2011; 342: d549. doi:10.1136/bmj.d549.
  6. Kontopantelis E, Springate DA, Reeves D. A re-analysis of the Cochrane library data: the dangers of unobserved heterogeneity in meta-analyses. PLoS One 2013; 8: e69930. doi:10.1371/journal.pone.0069930

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